ABOUT
01 PROFILE
🌟簡略プロフ
HN/PN:アユム
公式を大切にする気持ちを前提に、完全なる非公式の世界を夢想している、光~夜明けのオタク。
お酒が飲める年齢。
🌟メインCP
こは斑中心
たまに燐ひめ、ひいあい
(颯維/ジュン要/ニキマヨもあるかも。ここはほぼ読み専)
★完全相手固定・同軸の逆解釈も好き!
🌟SNS
思考整理多め/壁打ち気味/ぬい撮り/自我あり/ネタバレ配慮はなし(公式から特別な指示があるストーリーを除く)
🌟主な活動
字書き(たまに絵)/概念ハンドメイド/ぬい撮り
🌟活動傾向
甘々〜救いのあるシリアス好き/R18/女体化百合/幼児化/猫化/体調不良/一部特殊性癖など
苦手なものは自衛済みです。
02 CREATIVE STANCE
🌟CPについて
こは斑/燐ひめ
基本相手固定・同軸逆も楽しみます。
また、周辺の人々の関係性や群像劇に萌えています。
『相容れないのに、いつの間にか唯一無二になってしまった』
そんな関係性が好きです。
気になるのは
ひいあい/颯維/ジュン要/ニキマヨ
※創作内でこれらのCPが複数出てくることがあります。キャプションに明記しますのでご留意ください。
※逆CPや別CPでも、素敵な作品はリポスト、いいねさせていただいてます。ご不要でしたら、ブロックなどでご対応ください。
🌟女体化百合好き
片方だけの女体化も好きですが、特に!特に百合が好きです!
先天性で、髪型は長さなどはあまり変えずヘアアレのみ、が至高……
皆さんの女体化設定や作品も楽しく拝見しております🙇♀️💕
03 MY THOUGHTS ON DOUBLE FACE
🌟ENST HISTORY
!!から2023年のウェルカム祭りで参入したDFP。
Crazy:BとMaMも応援してる。 イベント走るのはこの3ユニットです。
→いつの間にか紅月も加わりました🌙*゚
🌟燐音くん
燐音くんから参入。
圧倒的にセンターで最高最凶のパフォーマーで誰よりもアイドルで、天性のリーダーだと信じてやまない 。
いつか正統派アイドルの姿も見たい。クレビジュンブラ来い!
→で、まさかの願いが叶う日が来た!
→今度は燐音センターのウィンターバラード祈願してます)
🌟こはくさん
そのままの流れで、完全ノーマークだったこはくさんのステージでの表情や、一生懸命さが見て取れる性格とパフォ、低重心ダンス、伸びやかな低音ボイスにベタ惚れからの完全な沼落ち。 今は過去ごと、そのすべて全部が好き。
BMUストにて、自分の出自を一旦置いて、等身大の姿を見せると決意した姿に感心して泣いた。出自を嘆くでも捨てるでもなく、自分を構成する要素の全てを引き受けて歩む姿は、いつだって尊敬・信頼できる年下の最高に強い男!
若干、アイドル対ファン(モブ)としての夢傾向あり※私自身の感情はこは斑には反映されていません
※モブ一人称の作品などもありますが、こちらも私自身の感情は反映されていません。
🌟斑はん
斑はんの声聴くと無条件で泣いてしまう。
辛い時に助けられたMaM存在と歌声……ただただ好き。入口はそこでした。
彼を心の底から幸せにする方法だけを常に考えている。でもそれもエゴだろうなぁとも考えてる七面倒臭いモンペ。
辛い荷物を下ろすためでもあり、嬉し泣きでもあり、どちらもせめて創作の中だけでも泣かせてあげたい。なんとしても抱き締めたいというスタンスで活動していたと思っていたら、MMとMVで実際の涙する姿を見て浄化されつつ、今度は嬉し涙だね!と決意を新たにした。
🌟こはくへの感情
好き(1ファンとして)×握手してほしい(1ファンとして)×精神も肉体も成長を見守りたい(遠い親戚の叔母の気分)×愛している(その存在への感謝と肯定)×幸せにしてあげたい(業)×幸せになってほしい(祈念)
🌟斑への感情
好き(1ファンとして)×幸せにしてあげたい(エゴ)×愛している(その存在への感謝と肯定)×抱き締めたい(存在の肯定)×幸せになってほしい(祈念)×守りたい(余計なお世話) ×救いたい(業)
二人とも好きだけど、後半に『守りたい』『救いたい』部類の気持ちが入るのが斑です。
🌟DFと私
『体格差シンメは好みではない』という理由に、MVを見ていなかったノーマーク状態。
が、単体で好きなふたりが好きな楽曲をカバーすることに驚き、夜駆けからの完全な沼落ち。手のひらを返してしまい、誠心誠意DFに謝った。
「僕の目に映る君は綺麗だ」と歌い上げる最年少に無限大の可能性を感じ、傷を抱えながらでも「ふたりでいよう」と歌った瞬間に、少しでも可能性を夢見たのでは――と深読みして、その声の切なく優しい斑を守りたかった。
「お願いDF死なないで……」と「一番死に近い命のやり取りしてる最高!」、「プライベートアイ大好き設定!」……「どうせ死ぬんでしょ!!(万一のための予防線)」が常に拮抗してる。 とても面倒くさい。
解散に関しては、二人の選択を目一杯応援しています。
だけど再結成も心から願っているし、心の底では寂しくて死にそうなときがある。どの感情も同居していい。正解なんてない、を心情にしています。
ストーリー、運営に関する強い恨み節を連ねることはありません。思考整理のポストはしますが、あくまで自分の中で完結し、人にぶつけたり、強制するスタンスではありません。
解散しても相棒は唯一無二だし、お互い背中を支え、背中を押し合う仲だし、機が熟したら再結成すると信じてるぞ!
🌟ふたりへの想い
幼い頃になかったであろう、無償の存在肯定をしている。教えるのも叱るのもそれから。悪い部分があることもも気づいているが、それを正すより先に、『ふたりが安心して帰ることができる心の居場所』を整えるのが先だと思って活動しています。
GUIDELINE
01 POLICY
🌟二次利用について
▶いかなる媒体(SNSやネット掲載作品、同人誌、ハンドメイド、写真など)においても、文章・画像の転載、複製、AI学習など、全ての利用を禁止します。
▶No reproduction, redistribution, unauthorized use and AI learning!!
02 AGE RESTRICTION
🌟年齢制限について
鍵なしXメインアカウント、鍵ありXアカウントともに、下ネタ等も含むため、【どちらもR18】です。
満18歳に満たない方(高校在学中の方含)やプロフィールで年齢が確認できない方は、フォローいただいてもブロ解させていただいています。
お互いをトラブルに巻き込んだり、巻き込まれたりしないためにそうさせていただいていますので、ご理解ください。
成人されてから・プロフに明記してからでしたら、再フォロー申請大歓迎です!
ご縁がありましたら、是非よろしくお願いいたします。
03 X MAIN ACCOUNT
🌟@ayumu_emerald
Xでの投稿内容の割合
不定期活動
▶ぬい撮り #ぬいもたけなわ
▶概念ハンドメイド #アユムのDFハンドメイド部
※苦手な方はタグでミュートをお願いします。
▶長くなった妄想ポストや小話、ネタメモはPrivatter +へ
(2024/02/21以前に使用していたぷらいべったーは、現在のPrivatter +に移行の上、作品を削除済です)
04 X R18 ACCOUNT
🌟@a_emeraldkey
フォロー前にご一読ください。
①プロフィールに年齢を表記済みで、成人済・高校在学中ではないとわかる
②プロフィールで同ジャンル(もしくは別ジャンルメインでも)二次元のBL二次創作好きかどうかわかる
③アイコンやbioがデフォルトアイコン/空欄ではなく、捨て垢ではないことがわかる
簡単で構いませんので、以上がわかるようにした状態でフォロリクお願いいたします。
なお、上記の他に、申請時に鍵垢の方は、自衛のためお受けできない場合があります。
お手数ですがよろしくお願いいたします。
🌟Xでの投稿内容
▶全体的にフェチ特濃
▶女体化百合
▶ハート喘ぎ、濁点喘ぎ
▶小スカ
▶らぶらぶえっちが大好き!!
▶(回復可能な範囲で)怪我や病気で伏せるのも好き
▶ほの暗い妄想も …………etc.
なんでも楽しめる方は、お付き合いください😊💕
05 INTERACTION
🌟交流について
ガチガチ解釈・交流下手ゆえにフォロバは慎重ですが(すみません)、フォローしていただいたり、お声をかけていただけたりするのはとても嬉しいです🥰
ありがとうございます。
🌟ミュート/ブロックなど
フォローの有無に関わらず、合わないと感じたときは、リムーブ/ブロック/ミュートなど、無理せずにご対応をお願いします。
読めないCPや苦手な話題などはありますが、適宜ワード・タグ等でミュートしております。
万が一リプなどに反応がない場合、ミュートにかかっているかもしれません。
ミュートはしていないけど苦手だなと思う話題がある時は、するっと薄目でTLを見るorしばらくTLを離れる、などしますので、どうぞお気遣いなく☺️
お互い無理せず推し活できたらと思っています🍀
WORKS
短編作品
Happy Happy Hamburger!!
斑とともにはじめてのマ*ドナル*に行くこはく。
甘い休日のひとときに、ふたりが置いてきた子供時代の忘れ物を、そっと取り戻す日常の一ページ。
斑のマンションに合鍵を持ったこはくが入り浸るようになったのはいつからか。遠い昔のような気もするし、ただ数日前のような気もする。
遮光カーテンの隙間から漏れる陽の光に目をこじ開けて、隣の存在に笑みが零れる。そんな朝だった。
「……食べたことがない?」
一週間以上続いた猛暑日もすぎ、風が生暖かく感じられる八月も終わりのある日。斑はちょっとした驚きに目を見開いて、タオルケットに包まる裸の少年を見つめていた。
「っちうか店に行ったこともないし、見たとこもあらへん。うちとこの事情もあるけどな、自由にしてはる姉はんらもよう食べへんのよ」
相変わらず、ベッドの上の少年は少し拗ねたような声で言い放つ。伸びをして、同じく服を着ていない斑の脛に足先を絡めて無為に遊ばせて。そんな戯れを、二人ともよく気に入っていた。
今日は二人揃って仕事はない。それならばと、会えない日を埋めるかのように、ふざけ合いながら激しく、泥のように抱き合って眠った。その"会えない日"が、たった四日間であったことは、二人とも思考の遥か彼方に追いやっていたが。
そうして、ブランチでも作るかなあ、と起き上がった斑が、メニューのリクエストを聞いたのが始まりだった。
「ホットサンドでもスクランブルエッグでも、シンプルに焼き魚と納豆ご飯でもいいぞお!」
最近料理のレパートリーを増やしたらしい斑が茶化して言う。その答えは、
「チーズバーガー? マクド? ——の、食べてみたいんやけど」
予想を外れて指定された。
「たまにはええやろ? バイク後ろ乗っけてや。食べたことないし食べてみたいんよ」
「……食べたことがない?」
そして冒頭のこの台詞である。
「Crazy:Bの仲間とは行かないのかあ? 意外だなあ」
「いや、行くにしてもシナモンでニキはんがええの出してくれはるし。わざわざあんなギャーギャーやかましい連中と外で食べることもないわな」
「うーーーん……なるほどニキさんが」
「そもそも連中に初めてなんてバレてみぃ、死ぬまで笑われ突つかれするのが丸わかりじゃろが」
心底嫌そうに肩を窄めたこはくを見つめ、斑の胸に湧き上がるふわふわしたあたたかいなにか。
「それで、俺はいいのかあ? また君をビデオに収めてからかうかもしれないぞお?」
——それはきっと、穏やかながら確かな優越感と独占欲だった。むっと眉をひそめたこはくは、
「ぬしはんのそういう根性ひん曲がったとこ嫌いや言うとるやろ」
そう一言残して、斑の額に口付けた。二人して上がる口角。下がる眉。蕩ける瞳。堪えきれない笑いを噛み殺しながら、
「それなら行こう! 善は急げ、お腹も空いてることだしなあ!」
斑は、満面の笑みで言ったのだった。
バイクで走ることものの十分。広いショッピングモールに併設された三階建てのハンバーガーショップ。その看板が聳え立つ。ワンフロアに四十近くの机が並ぶと書いてある。
「……ふうん、外から見たらこんなもんなんやな……広いっちゅうだけでなんてこともないか」
恐らく跳ね上がりそうな感情を悟られまいとしているこはくの口ぶりに、斑は笑いを噛み殺した。駐車場から入口までの十数メートルを歩きながら手の甲と手の甲が微かに触れる距離。
赤と黄色の見慣れた看板。
しかしこはくには初めての看板。
踏み出す一歩。また一歩。
ひとたび自動ドアをくぐれば鼻をくすぐる油の香りが胸いっぱいに流れ込み、こはくは逃すまいと更に大きく息を吸い込む。
「うっわ! うわ……もう美味そうな匂いしよる……」
「そうだろうそうだろう! 彼方アメリカから全世界には羽ばたいて何年も愛されてる味だからなあ!」
斑は思わずオーバーに言ったが、あながち間違いでもないからタチが悪い。しかし、その言葉にいよいよ足を弾ませたこはくが店内のマットを踏む。斑も続く。カウンターと入口付近の座席の間できょろきょろ辺りを見回している落ち着かないこはくが、ここでいいかと斑にお伺いを立てた。マスクとキャップで軽い変装はしているものの、いつものまっすぐ通る声で言うものだから一瞬奥の席の家族連れがこはくを見やった。
「斑はん、これ好きなとこ座ってええやろ?」
「そうだなあ。けど先に注文しようか! それにもっと人目につかない席もあるだろうし……」
相変わらずきょろきょろ落ち着かない視線を投げかけるこはくの手を引き、カウンターの後ろに掲げられたメニューを指さして、斑は微笑んだ。あたたかい。どつしようもなく胸が弾む。
「こはくさん、なにがいい?」
「こないぎょうさんあったら選びきれんわ。迷ってええ?」
「それは構わないぞお! 後悔しないのが一番!」
必死に壁一面の品揃えを凝視して真剣に吟味して、その間斑は数組の客を先に通した。こはくは興奮で気がつかぬままメニューに齧りついている。また笑いを噛み殺した斑は、
「せっかくの初めてだ、まあゆっくり選ぼうか」
そう、ついには唸り出してしまった歳より幼いこはくに声をかけた。
「ん〜〜〜あ゛ーーーーあかん、斑はん選んでや。なあ、美味いの知っとるやろ?」
眩しさに目を細めて微笑んだ斑は、——きっと忘れない。
はにかみながら少し赤い顔で振り返った、幼い幼いこはくのことも、店の喧騒も、真夏の風の暑さも空調の涼しさも油の香りも、きっと一生忘れないのだ。忘れられない。漠然とそう胸を高鳴らせ、こはくと並んでメニューを見やる。
「そうだなあ……? ここは最初の気持ちに正直にチーズバーガーにしようか!」
隣に向き直って告げれば、
「……え? ほんま? ええの?」
一瞬目を曇らせたこはくが問う。
「いや、え? 逆になにが悪いんだあ?」
一瞬の静寂ののち、斑は間の抜けた声で質問に質問を返してしまった。こはくも目を丸くする。さっきまでの楽しそうなこはくはどこへやら、一瞬で叱られた子供のように萎縮した顔をして足元に視線を落とす。
そして、ああ——斑は思い至った。老成した反面のその心の奥底にいる誰か——"在りし日の小さなこはく"に。
「ははーん、さてはジャンクフードは身体に悪いから一生食べちゃいけませーん! とか言われてたクチだなあ? 今になって迷うのはそれでかあ」
「っ、…………」
図星をつかれたのだろうこはくは、バツが悪そうに呟いた。
「……それを今の今まで律儀に信じて守っとるんがおかしな話や。……もう、自分で選べばええのにな」
「……そうだなあ。俺もそう思う」
いつもより少し不器用に笑うこはく。
「わし……そのチーズのバーガーとポテトがええ。メロンソーダLにするわ」
はっきりと、力強く真っ直ぐに告げる声。
斑の体を風のように吹き抜けて、あたたかく、なんとも言えない心地がする。
「よーしよし、じゃあ俺もチーズバーガーにするとしよう!」
大きく告げて斑も微笑む。どこか誇らしげなこはくの隣で。
"よく言えました"
そう心の中で呟いて、二人でトレイを持って並んで歩いた。
店の奥で死角になる四人掛けボックス席。
並んだチーズバーガー。
サイドセットのフライドポテト。
斑のコーラ、こはくのメロンソーダ。
単品で追加したナゲットが15個。
白い机の上に所狭しと並んだジャンクフードを、まるで宝物のように大切に大切に、目に焼き付けようと見詰めるこはくのアメジスト。
見守る斑のエメラルド。
きっとずっと忘れないだろうこの日を胸に刻んで、二人は笑った。
「なんやのこれ」
「ん?」
いざバーガーを掴もうとしたこはくの指が寄り道したのは、トレイの隅に転がったビニールに包まれたカラフルななにかだった。そのまま突ついて転がせば、こつん、こつん、と硬い音がする。
「ああ、それはなあ」
「……おもちゃやな?」
斑の説明を待たずに袋をつまみ上げて怪訝そうに眉を顰めるこはく。斑は少し言葉を探す。
「特定のセットを頼むとオマケで付いてくるんだ。なんともハッピーだろう? せっかくだから記念にと思ってなあ」
「子供だましやないかい」
案の定ご立腹のこはくを前に、まあまあ、と斑は笑った。
「こういう事ほど大人になったらできなくなる。それはもちろん大人でも買えるけど、こはくさんの"初めて"は今しかないし」
斑は笑う。そして目を細めてこはくを見つめ、話す。愛おしそうに。
「……」
「せっかくの記念じゃないか」
こはくが訝しげに袋を破けば、転がり出した小さなプラスチックの太鼓のおもちゃ。特撮ヒーローのシールが貼ってある、小さな小さな太鼓のおもちゃ。
「ははは!千秋さんがいたら飛びつきそうだ!」
斑が笑い、そうやね、とだけ俯いたこはくが呟く。
お節介だったろうか、気持ちの押し付けだろうか。斑の脳裏に一瞬よぎる言葉たちの渦。
「君がいらないなら余計なことをしたなあ! 失敬失敬!」
「なあ」
「んん?」
「斑はん、今の、誰に言うてた?」
風が吹き抜ける。冷たい風だった。この席は空調ダクトの真下だったと思い出す。
「……ほんまに欲しいの、斑はんなんと違うか」
斑の肩がびくりと揺れる。否、揺らさないようにしたはずだ。一瞬目が揺らいだのは隠せなかったかもしれない。ことこはくの前では隠し事が下手だった。
「いやあ、こんな図体でその太鼓を叩いたら潰れちゃうだろう」
「そういうことやない。わしには似たようなこと言うたやろが」
ピシャリと言い放つこはくの声に、斑は言葉を探している。
「俺は別に……いや、……」
胸の内に眠る感情。"在りし日の幼い斑"。燻ってはときたま顔を出す、あの日の子供。
「…………うーん………………、欲しかった、……なあ……」
斑は、それだけを絞り出した。鋭く尖ったこはくの顔は少しだけ和らぎ、斑を見つめて離さない。
「過去形なん?」
再びこはくが口を開く。
幼い斑の口が開く。
"あれ、欲しい"
駄目だと言われた。
そんなもを食べさせる家ではない、くだらないおもちゃをもらう気か、もう何歳になった?少しは家のことを考えなさい。
たくさん、たくさん。
斑の中には傷だらけのあの子がいる。——自分がいる。
「……俺も」
「うん」
言葉を探す斑をみつめ、微笑んで、こはくが静かに頷く。空調の音が一段と大きくなった。斑の大きく朗らかに動くあの唇が、きつく結ばれて、やがて開かける。
「——俺も、欲しかった。……いや、……俺が、欲しい。欲しいなあそれ」
ようやく吐露したそれはやがて笑い声に変わり、軽口が溢れ出す。
「よく言うたなぁ! 偉いで〜でっかい子供!」
「あーもう! 君なあ! そういうところが」
「大好きなんやろ?」
「……大好きだなああもう!」
「言いよった言いよった!」
——在りし日のあの子たちは、遠慮がちに、しかし確かに微笑んでまた胸の奥に還る。何度も何度も、どれだけ遠回りをしてきただろう。似ていない。似て非なる二人。けれどきっと似た者同士だ。
こはくがハンバーガーのソースで汚れた手で斑のポテトを摘み、斑が大きく体を揺らして笑う。
「ははは! こはくさあん! 手も顔も真っ赤っかだなあ!? お猿さんの真似っ子かなあ?」
「っ、仕方ないやろ! これが紙ベロベロになっとって食べにくくてかなわんのや! 四方八方からタレも具も出よる……」
「最初に少し潰してからかぶりつくと上手くいくって人が多いなあ」
「ほんなら先に言え!」
「聞かれなかった!」
「あーーー! そういうところが」
「"大嫌い"……だろう?」
「嫌いや嫌い! 大嫌いや鬱陶しい!」
笑い笑われ、長居した初めのバーガーショップ。日が暮れるまで笑い転げて、結局夕食もそこで楽しむことになった。今度は斑がおもちゃのセット。転がす小さなヨーヨー越しに見た笑顔を、斑も、こはくも、きっとずっと忘れない。
マンションの寝室。眠る二人。遮光カーテンの隙間から差し込む朝陽。
ベッドサイドのおもちゃたちは、今日も明日も明後日も、並んでふたつ、微笑んでいる。
fin.
Mission:Encore
斑に想いをぶつけるこはくと、頑なに否定を続ける斑。
ステージの熱狂の渦の中、ふたりは――。
こは斑ワンドロワンライ作品
お題【キス】【ライブ】
「好きや」
そうこはくが呟いた。呟きというには凛と告げた。しかし、隣でユニット衣装のハーネスの調整をしていた斑はこはくを見ることもしない。――この応酬は今日三度目だった。更に言えば何日も前、何ヶ月も前から繰り返されたその台詞。
ライブを控え、こはくは激しい熱情を斑に向けるが、彼はまるで意に介さない。いつもの通り茶化さずにいるだけ、余計に腹の底が見えない。
「そういうことをそうやすやすと言うもんじゃないぞお?」
ようやく口を開いた斑は、まだこはくを見ようとしなかった。楽屋の大きな鏡の前で次はネクタイを確認して、その次はヘアセットの確認をして、アイドルとしての自分を上手く見せることに余念がない。それが長い間一人で舞台に立っていたその人のその人たる所以。そして、こはくと過ごすうちに〝愛されるアイドルになりたい〟と変化してきた彼そのものようなものなのだ。
斑がまた、口を開く。こはくのことは見ないまま。
「一時の共同戦線、闇の道――そういうスリルとも言える感覚がそれを恋愛だ性愛だって誤解させる。そして現に君は今、いとも簡単にそれに騙されているというわけだ」
違うか? と、そう問われたこはくは、ふんと鼻を鳴らした。合わせ鏡の中から斑を射るように見つめながら。
「やすやすやないやろ!」
叫ぶ。
それでもなお、斑はこはくを見ないままだ。
「こちとらどれだけ考えて悩んで感じてきたと思てんねん! 大事なのは〝ここ〟ちゃうんか!」
突然声に合わせて立ち上がったこはくが距離を詰め、その右手が斑の胸を叩いた。その必死な形相を前に、斑はため息を一つ。
「……どうして〝俺も君が好きだ〟という確証を得てるような口振りで言うのかなあ、こはくさん?」
「そんなん、見とったらわかる。傍におったらわかる」
こはくの力強い声が斑を刺そうと放たれるも、
「……驕るには早いぞ」
斑はこはくから瞳を逸らしてまた鏡へと向き直った。
そして鳴り響く開演三十分前のアラーム。にわかに廊下から慌ただしくけたたましい音を立て、入り乱れるスタッフたちの気合いを伝える。
こはくは斑を睨んだまま。
「さあ! 幕は上がる! 待ったはないぞお!」
斑は部屋を飛び出した。斑の声を聞きながらその背を睨んだこはくが、舞台裏の装置と替えの衣装のかかったハンガーラックの間を進んで行った。
そうだ。ついに今宵もDouble Faceのライブの幕は上がる。
順調だ。順調すぎるほどの盛り上がりで歓迎され、手持ちの歌はほぼ歌い終えた。いつもの通りMCも面白おかしくこなした。
それでも、客席を含めてステージ全体がピリピリとどこか緊張感を放っている。良い意味でも悪い意味でも皆が空気に酔っている。今までのDouble Faceのステージの中でも随一の妖しく切なく力強い魅力を放つパフォーマンスを響かせていたのだ。
斑の声を追いかけるこはくの声。
こはくのダンスを、表現力と持ち前の力強さでねじ伏せるが如くの斑のダンス。
呼応。
相乗効果。
化学反応。
それ以上の、まるで言葉にできないなにかが舞台上に渦巻いて、二人は会場を唸らせた。
ただ一ついつもと違う。視線が合わない。
元々彼らの曲は甘くあまく恋を囁くようなテイストではない。アンダーグラウンド、ダスティハウンド。それが彼らだ。それでも一度も二人の視線が合わないなどということはない。それは位置の確認のアイコンタクトであったり、決して馴れ合うものでなかったのも事実だが。
今、その独特にひりついた得も言われぬ空気を客席も感じ取っている。なにより二人が互いに感じ取っている。その危うい鼓動の呼応を。
最後の曲目のイントロダクション。絞ったボリュームが徐々に大きくなり、激しく低音が響く。そう、デビュー曲だ。二人の始まりの曲。
人気も人気の花形であるのに、敢えて最後に持ってきたこの曲。最後の最高の盛り上がりを、熱のうねりを、ここで確固たるものにする。そんなセットリストだった。何度も話し合いぶつかり合い、練習を重ねてきたそれだった。
背中合わせの姿勢。合わせたそれから伝わる鼓動と汗の湿り気。それを感じるや否やすぐに激しいステップに合わせて靴音が響く。斑の背中。こはくの背中。確かに今汗を散らして彼はひとつになっている。――視線は合わないまま。
踊り出して十秒、十五秒。そしてまた紡ぐワンフレーズ、またワンフレーズ。激しくも切々と歌うその声の重なりに、会場は熱狂した。振り上げられるペンライトとリングライト。チカチカ瞬く光に包まれた二人が、まるでその渦に呑まれていくかのように。
そして手を伸ばして互いに互いの顔を隠す演出の瞬間だった。まっすぐに斑の目元を目がけて伸ばされたはずのこはくの左手が、斑の顎と頬を乱暴に掴んで口づける。
いったいなにが起こったのだろうか。仲良くしただけで結婚したと騒ぐ界隈だ。俗に言うBL営業だ。そんな言葉を吹き飛ばすだけの耽美で切なるこはくの心の叫びとその光景に、会場は皆息を呑んだ。
口づけられた斑もこはくの頭を攫うように力任せに引き寄せる。
ここまでほんの数秒だった。次の瞬間にすれ違い、踊り続ける二人の瞳が燃えるような赤に輝いたようだった。紫の妖しい照明。光るレーザー。それでは説明がつかないほど燃えた瞳は、やがて静かに瞼に包まれる。そうして曲が終わりステージの幕が降りる。
途端に今まで静まり返っていた客席から、悲鳴にも似た歓声が上がった。
アンコールへのその幕間に斑はこはくを睨む。こはくも斑を睨む。
「答え、聞かせてもらうで」
観念したかのように、しかし挑戦的な瞳をギラつかせながら微笑んだ斑の手が再びこはくの頭を引き寄せるまで、時間はかからなかった。
fin.
桜前線恋煩
〝斑はんは恋をしとる〟
恋を知り変わっていく親友・斑を前に、募る想いを抱えきれないこはく。
ただ、隣にいてほしいだけなのに。
いつもつけとった香水が変わった。スイーツ会で飲んだようなダージリンの香りと爽やかな香りが混ざっとる、たぶん〝ユニセックス〟っちうタイプの香水を好んでずっとつけとった斑はん。けど、隣にいてふと気づいたんよ。
「えらい早やくから春の香りするなぁ?」
「……変かなあ?」
斑はんが困った顔でまいったなあ、なんて言うから。胸の中につかえるなにかがザワついて喧しい。
「あ? そんなこと言うてへんやろが」
わしの声もつい棘が出るから斑はんも一瞬黙ってもうて、目の前のラズベリーケーキを無心で食べた。
――こんな味わい方する予定やなかったんやけど。
仕方ない、斑はんかてだんまりのままやし。今はもう香ることはなくなったダージリンを啜った斑はんが、店内暑いなあ? なんて無難な言葉で場を濁した。少なくともわしにはそう見える。
わしが斑はんに出会って二年がすぎた。
路地裏で真っ黒に汚れて出会ったわしらが、こうしてお洒落なカフェでアフタヌーンティーしてウィンドウショッピングをするなんっち仲になるまで、結構、話しきれないぐらいのことがあって。怒って泣いてぶつかってようやく手を取って、その手を離して――けど、今もこうして不機嫌なまま向き合ってケーキをつついとるぐらいには、仲がええんやっち思ってもええかな。ええかな、……どうなんやろか。
わしが抱えるもやもやしたなにかや、突き動かされるみたいに勇気が湧いたりする不思議な気持ち、恥ずかしかったり泣きたくなったりするそれ。それがみんな、きっと〝恋〟なんやなって、気づいて。それから少し距離が変わった。どのぐらい、どんな風にとか説明はできへんけど……。
そんな片想いを始めて、それも結構な長さになるんやなぁ。
不機嫌になると真顔になる斑はんの癖。
図星だと黙る斑はんの癖。
今もそれが遺憾無く発揮されとる。
それでも、その膨れっ面も、綺麗やなって思てまうんよ。仕方ない。……好きなんやもん。仕方ない。悔しいけど。
なんだかんだこの押し問答ももう一年半やろか。自覚ない時間も合わせたら、やっぱり二年かも知れんね。
その間ずっと同じだった斑はんの香りが、今日会ったらガラッと変わっとって。
〝香水変えたん? 似合うとるわ!〟
店についてオーダー通す頃には、笑顔でそう言うつもりでおったのに。出てきた言葉がこれやったら世話ないな。あかん、思考がぐちゃぐちゃしよる。
「……桜、と、……少しイランイランやバニラが入っているらしくてなあ」
ようやく口を開く斑はん。
「……さよけ。詳しくないからわからんわ」
そんな返事しかできへんわし。
「…………」
「で? 桜とイランイランっちうの?」
「この間……その、前からお世話になってるスタイリストさんからオススメだとサンプルをもらったんだが」
……ああ、きっとサンプルやなくて本体買っとる。随分わかりやすく見え透いた嘘。
「ほんならつけるの今日だけなんや?」
「……そう、かなあ。まあそうなるか……」
こんな、こんな刺々しい会話しかできなくて。普段からわしの口調が強いらしいことは気づいとるけど。違うんよ。そうやなくて、そうやなくて……もっと、普通に、斑はんの恋を応援せなあかんって、
「……こはくさん?」
わかっとるのに。
カランと音を立ててフォークがケーキの残骸の乗った皿に落ちた。
「……この間、リップも変えたやろ。〝スタイリストさんのオススメのサンプル〟が使い心地よかったから、って……言うて……」
「そ、そうだったかなあ? そういえばそんなこともあった……? ああそうそう! 蜂蜜の保湿力が気に入って、乾燥する真冬の間は特にそのリップに世話になった。だんだん思い出してきたぞお! こはくさんももしかして使いたかったのかあ? 言ってくれればママがプレゼントしますよおおお! さあ遠慮しないで!」
ああ、饒舌なときも、なにか嘘を隠しとるときの悪癖や。
それぐらい斑はんのことは知っとる。知っとる、わかっとるんよ好きなんや。仕方ない。
「嘘や」
思った以上に低くて酷い声が出て、斑はんの顔を見られなくなって顔を伏せて、視線が足先に落ちる。あかん、――そう思ったらもう、本当に手遅れや。
「こはくさん!?」
おろしたての花柄のフレアスカートの上で握った拳に水の音。ぱたぱた音を立てて涙が零れて止まらない。あかん、あかんよこんな……わしの涙を拭おうとハンカチを差し出しながら、困った顔をする斑はんは、誰よりも〝皆のママ〟で。それに加えて今は、誰かを、一途に想っとるんやろ。わしの知らん誰かを。何処の馬の骨かもわからん誰か、を。
このお人の人間関係の広さじゃ意中のお人を探すにも探しきれん。スタッフさんやスタイリストさんだけやない、遠くの祭りや町おこしを手伝った土地のお人までおるんやもん……わかるわけあらへん。
涙と怒りとやるせなさと恥ずかしさと、あとはほんまにもうわからんわ。
ぼろぼろ不恰好に涙が溢れて、予約して個室押さえて良かったなぁなんてどうでもいいことまで溢れ出して止まらなくて。
「どうして……なんで君が泣くんだ……」
斑はんが今にも泣きそうな細い声を絞り出したのが聞こえた。ああ、ああもうあかん、決壊して止まらない。
「そんなんっ、……なんでじゃ……なんでぬしはんがそんな声出すん!? こっちのセリフや! リップも変えて香水も変えて服やって! 靴やってローヒールに変えたやろが! 会う度変わって髪も! 爪もっ……ぜんぶ……ぜんぶ……っ……」
ぜんぶぜんぶ、大好きな斑はんが誰かに塗り替えられていく。寂しくて悔しくて、この世の全てが真っ暗闇や。
「……っ! 君だって……」
斑はんの言葉を聞くのが怖い。いやや、斑はんが手の届かない場所に行ってまう――。
「……なぁ、好きな人おるんやろ?」
何故かこれだけ、斑はんの目を見て言うた。
きっと尋問するような目で、泣きながらで、酷い顔で。斑はんの喉がひゅっと鳴る。
「……あの桜と蜂蜜のリップ。調べたんよ。……キャッチフレーズが〝初恋の香り〟やった……今日のも、そのブランドの同じラインの香りで揃えとるし。なぁ、違うん?」
斑はんは喋らない。図星だと黙る斑はん。知っとる、わかっとる。それぐらい一緒にいた時間は特別で、わしにとって斑はんは唯一無二の存在で、恋人になれなくても相棒なら、友達っち言うんなら、そういうのわしに話してくれるんと違うんか、それともそれも話せへんくらい信頼に足らんか? こんなに、こんなに斑はんのことだけ見てたのに好きなのに、斑はんのこと、好きなのに――思ったことが、涙と一緒に溢れ出して声になって止まらない。
ちゃうよ、こんなこと言うつもりやないよ、墓場まで持ってく秘密だったのに。
恋人になれるとも思っとらん、けど、それでも、
「……すき、斑はんが、好きや」
あかん……しまいや、もうおしまい。
斑はんときたら、固まったまま言葉すら忘れたお人形さんみたいに突っ立っとる。
……ほんならしゃーない、後腐れなくバイバイしよ。せやろ?
「こはくさ、」
なにを入れてたかも忘れるぐらい軽いすっからかんの白いエナメルのハンドバッグを持って席を立つ。先に会計しとく店で助かったわ。これでなんも、なんにも、なんともなくなって消えられる。
「さっき言ったこと、全部忘れてな。それからあのうさぎダンスのムービー……っ、消しとき」
なにか言いたげな斑はんの横をすり抜けてドアを押し開ける。そのときやった。
「――きみに、気づいて、欲しくて」
いつもより細い斑はんの声がした。結果的にドアを開けずに部屋に留まることになる。
「……いや、せやから気づいたやろが」
どつしてもこの棘が抜けへん。奥深く胸に刺さったまま。
「ちがう」
「違わへんよ」
ぐらぐら目が回ってまた涙が出そうで斑はんの真意が読めない。わからん。わからん、ほんまにらわからん。
「こはくさんが、……私がこはくさんのことが好きって……どうして気づかないかなあ!? こんなにわかりやす、く、してるのに君……っ……」
……わからん。なんや、ほんまにわからん。何が起こっとるんやこれは。
斑はんの目から、綺麗なエメラルドの目からぽろぽろ溢れるダイヤモンド。それが涙やって、わしと同じやって気づくまでにきっとだいぶ時間がかかった。
「君にっ……気づいて、欲しくて……こんな年上の、面倒くさい女なんて嫌だろう、っ、けど……それでもずっとこうしていたくて、けど、……だけどっ……」
どこか遠くで聞こえるような、反響した……夢の中で聞くみたいな斑はんの声が震えて、だんだん大きくはっきり現実の輪郭をなぞる。
「……斑はん」
「友達、だから、……壊せなく、っ、て」
「斑はん」
「けど秘めてもいられなくなって……狡いことしてる自覚はあるんだ、けど、……君だって変わっただろう!? 慣れないヒールを履いて嫌いだと言ってたフレアスカートも履いて藍良さんに選んで貰ったってコロンに今日だってHiMERUさんに教えてもらったハンドバッグ持ってっ……」
「……斑はん」
「……ごめん、いやだ……嫌なんだ……背伸びした君が他の人の色に塗り替えられていくのが……」
「なぁ、斑はんっ……」
「好きだ、……好きなんだ…………」
斑はんはそう言って、固く奥歯を噛んだ。わかるで、そうしないと泣いてまうの、……わしもおんなじ。
「……わし、も……」
「…………うん」
斑はんの優しいまろやかな声が、好きや。体が包まれるみたいにふわふわして、きっと包容力がある声って言うんやろうその声が、今は震えとって、そうさせてるのがわしで。
「……いややった、無理して変わって誰かに恋しとる斑はん見るの、嫌やったぁ……っ」
涙声で絞り出したらもう、ブレーキが壊れたみたいに、勢いのまま斑はんを抱き締めとった。
少しして背中に回される斑はんの手。
今は七センチのヒールで五センチ差になったその距離が、きっとわしの空回りした最後のプライドや。
「……ふふ」
腕の中で優しく斑はんが笑うから、涙も少しずつ引っ込んで、メイクの落ちきった頬と頬で擦り合う、その距離が〇センチ。
「……無理は禁物ってことだなあ……」
「……またえらい遠回りしたもんやわ……」
伝わる体温があったかくてほっとして、胸のドキドキが止まらなくなって。身体中、心の中が斑はんで溢れとる。斑はんもそうなんやろか……。
止まらない胸のドキドキが指の先まで伝わって、ほんまの幸せは本やネットの世界に書かれてるのよりもっと大袈裟でそれでも穏やかで、温かいんやって知った。
「……こんなこと、あるんやね」
桜の香りの斑はんを強く抱きしめたまま、その桜色の唇が目に入る。近づけば一層ふわりと香る桜と甘い香りはイランイランとバニラ。目の前の、柔らかそうなその唇に吸い寄せられるみたいにして目を閉じた。
「…………こはくさん」
「……ん?」
「せっかくだがそろそろ退出時間なんだが」
「わっぎゃ!? ほんまや、はよ出な! ああっ、マカロン残っとる! 食べる! 斑はんは!?」
「こらこらお行儀悪いぞお!?」
指で摘んで口に放り込んだマカロンを噛み砕けなくて二人で笑って、慌てて紅茶を飲み干した。ほんまお行儀悪いわ……けど堪忍な。今日だけは、この、ふわふわとドタバタに酔ってたいんよ。
店を出る頃には被り直した帽子とマスカラの落ちきった真っ赤な目と顔。おそろい。世界中がキラキラ綺麗で輝いて、
「……斑、はん」
恥ずかしくて堪らなくて消えたくて、それでも呼びたい名前がある。
「……こはくさん」
振り向いた斑はんがキラキラ、キラキラ輝いとって。サングラス越しでもそのエメラルドがわかる。眩しそうに笑う癖がある、大好きな笑顔が見える。
「……これからもよろしゅうに」
「……」
「……っちことで、ええんよな……?」
「…………ああ」
少しだけ手の甲と手の甲が触れる距離が、まるで夏が来たみたいに熱かった。
fin.
ILLUSTRATION GALLERY
画像を選ぶと拡大してご覧いただけます。
SHOP
頒布物の紹介・商品画像・BOOTHへの案内を配置します。
BOOTH ショップへSERIES
🌟 水遊びをした日にはおもらししたい斑と、斑の傷ごと愛したいこはくのはなしR18
〝――おしっこ……〟
〝可愛ええかわええ、わしの宝物や〟
幼い頃の粗相がきっかけで、心の奥底へ傷を抱える斑。足枷のように絡みつく性癖を、恋人であるこはくに優しく暴かれ、彼の腕の中で新たな快感に目覚めてしまう。
そんな斑を心から愛したいと願うこはくとの、秘密のステップアップストーリー。
作品傾向
甘々恋人設定/ES3年夏~数年間/幼少期・青年期のおもらし/我慢描写/小スカプレイ/幼児語・幼児退行/濁点喘ぎ/自慰/精神不調/捏造三毛縞家/捏造幼少期
※話数により虐待とPTSDの描写を含む箇所があります。ご留意ください。
ふたりの日々をなんでも楽しめる方向けです。
主なテーマ
大きな愛を持ち寄る、ふたりだけの秘密の時間
消せない過去も消えない傷も、すべて抱いたままふたりで歩む秘密のしあわせを探す日々
公開状況
pixiv連載/本編3話完結+特別編(不定期更新)
pixiv掲載:約110,000文字(2026年10月31日時点)
同人誌書き下ろし:約9,000文字
🌟 こは斑ワンドロワンライlog君といつでも、いつまでも。全年齢
X企画『こは斑ワンドロワンライ』へお邪魔した記録。
『こんな日があってもいいかもしれない』『こんな些細なことが、実はしあわせなのかもしれない』
君が隣にいるからそう思える――そんなふたりのひとときを切り取った短編集
作品傾向
短編集/甘々恋人設定が主/日常が多い/DF活動時空・解散時空・解散しないIF時空の混在/猫化などパラレルも少し/たまにモブ
主なテーマ
甘く優しく、少しだけ傷ついて、それでも光ある場所へ手を伸ばす。自分たちのその足で、迷いながらも隣り合って歩んでいく日々。
公開状況
作品ごとに異なるお題・テーマで生まれた短編を、ログとしてpixivのシリーズにまとめて掲載。
各話:約2,000~4,000文字程度
pixivシリーズ🌟 コットンキャンディ性にトラウマがある斑と、待つと決めたこはくの季節――R18・女体化百合
〝……斑はんが、好きや。ずっと前から、……っ〟
〝私はやめておきなさい〟
隣にいることが、尊く、愛おしく、そして当たり前になった、気の置けない親友同士のこはくと斑。
しかし斑のグラビア写真をきっかけに、こはくは自分が斑に抱いている特別な気持ちに気付いてしまう。告白はにべなく切り捨てられ、それでも――。
ふたりの幼気な少女のような恋が羽化するまでの五年間。
作品傾向
女体化百合/こは斑前提のR18、相互描写あり/DF存続/全員女体化世界線/一人称・呼称の改変あり
友情出演:藍良(女体化百合、ひいあい)、ジュン
※ベッドシーンほか、性に深く触れる描写があるため、シリーズ全体がR18となっています。
※2023年5月に構想を始めたシリーズのため、公式最新ストーリー(メガスフィア編)の設定は反映していません。ES2年目以降をイメージした二次創作です。
主なテーマ
ぶつかり、赦し、癒し、渇望し、やがて手を取り、身体を重ね、心を重ね――どれも、〝ふたりだから〟できること。
乗り越えた先にある、自分のための、ふたりのためのしあわせを抱き締めるまで。
公開状況
pixiv連載/プロローグ+本編7話完結/pixiv掲載:約90,000文字/同人誌書き下ろし:約13,000文字
🌟 触れ、――斑を恋い慕うゲイのこはくと、こはくを失う恐怖と業を抱えたストレートの斑のはなしR18
「わしは……元から男の人しか好きにならんよ」
こはくの告白を遮って躱し、何気なく放ったつもりの言葉で深く傷つけてしまった斑。
こはくへの説明のつかない執着を抱えたまま、友人を失う恐怖とその業をこはくへぶつけてしまう。
こはくもまた、抱えた業。
やがて不器用な恋人になったふたりが、本当に心を交わすまでの物語。
〝君じゃなきゃ、嫌だ――〟
〝傍におってや……〟
作品傾向
センシティブ/野外未遂/兜合わせ/男性用エナメル下着/攻めからのフェラ/初夜
主なテーマ
無限に広がる性的志向と感情のグラデーションの中で、揺れ動く確執と葛藤の答えを互いの隣に、腕の中に、見つけるまで。
公開状況
pixiv連載/本編3話完結/pixiv掲載:約45,000文字
pixivシリーズ表紙の画像は NEO HIMEISMさま より。
規約に則って加工させていただきました。ありがとうございます。
LINKS
CONTACT
作品へのご感想や応援のお言葉など、wavebox、マシュマロ、pixivメッセージ、リプライ、DMなど、使いやすいツールからお送りいただけると嬉しいです。
いただいたお言葉は、すべて大切に読ませていただいております。
いつもありがとうございます。
本当に嬉しく、日々の創作活動の励みになっています!
MESSAGE
※匿名ツールは、ログインユーザー限定でメッセージを受け取る設定です。
※誹謗中傷、嫌がらせ、攻撃的なメッセージには返信いたしません。必要に応じて通報・削除等の対応を行います。